『ロボットがイタリア桶でボッチェリを指揮しちゃう事件』もうどこにも盤石な仕事なんて無いのか・・・。

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2017年9月中旬に海外ネットを騒がせたひとつの記事。
『YuMi the robot conducts Verdi with Italian orchestra』
ロボットの“YuMi”がイタリアのオーケストラでヴェルディを指揮!!
By REUTERS

つい先日、AIでバッハやモーツアルトが新曲を出せるのか?というニュースに触れて、ディープラーニングって末恐ろしいのかなぁ、なんて触れたばかりでしたが、早くもこんな記事が。

スイスのロボットメーカーABB社が作る2本腕のロボット「YuMi」がイタリアでLucca Philharmonic orchestraを指揮しちゃうという荒業に。しかもテノールはAndrea Bocelli。

The Vergeが紹介している、ABBの動画でその様子をうかがい知ることが出来ますが、「YuMi」は演奏に合わせて指揮棒を振っているのではなく、常任指揮者のAndrea Colombiniの指揮をプログラミングで完コピしているゆえ、Andrea Colombiniも「最初は彼(YuMiちゃん※由美かおるではない)の動きを把握するために時間が必要だったが、すぐに全く問題ないことが分かった。指揮ぶりのタイム感やスピード感も全く問題ない。」と言わしめるほど。
場所はPisaにあるVerdi Theatre(ベルディ劇場)。演奏後は、フルート奏者の男性も「とてもスムーズな動きでメトロノームのようだったので、とても楽に指揮を見ることが出来た」とコメントを残しています。もちろん、リハーサルでの動きを完璧にコピーしただけなので、突然神が舞い降りたり、奏者の予期しない動きにはまだ対応できないようですが、18曲中3曲をこのYuMiちゃんが振り切ったとのこと。

Andrea Bocelliは「これは素晴らしいマエストロとエンジニアの成せる業」との発言を残してはいるけれども、ABBのオヤジ(CEO Ulrich Spiesshofer)はYou tubeの宣材でこう述べている。
「思うに、我々は歴史に残るような、そしてロボットの応用について未来を書き換えることが出来たと思います。YuMiは自己学習プログラムで指揮者の繊細な動きを、音楽を感じ、そしてオケを一つにまとめたんです」
ちなみにABB、自分もよく知らなかったけれどよくよく考えてみたらこのロゴ、色々なところで目にしているな、と思って調べてみた。

ABB(ASEA BROWN BOVERI)
http://new.abb.com/

ABB(Asea Brown Boveri、アセア・ブラウン・ボベリ)は、電力関連、重電、重工業をドメインとする、スイスに本社を置く典型的な多国籍企業で、1988年にスウェーデンのASEA(アセア)とスイスのBBC(ブラウン・ボベリ)が合併して成立。ファナック、安川電機、クーカと並んで世界4大産業用ロボットメーカーのひとつと言われています。ASEA、BBCともに創業は1880年~1890年代にまで遡るので、それこそブラームス、ワーグナー、ブルックナーあたりの晩年に勃興している歴史ある会社なのですな。
ASEAなんて1953年に世界で初めて人工ダイアモンドを生産したり、BBCも1984年に世界最大の水力発電所作っちゃったりと、既存領域をどんどこ開拓している精神は変わらず。

勿論人工ダイアモンドが天然のダイアモンドに取って替わる訳ではなく、産業用途のダイアモンドに使用されたりしている訳ですが、おそらく当初もそんな議論はあったんではないでしょうか。。。って調べてみると「天然ダイヤモンドを取扱う業界にとって、合成ダイヤモンド(=ここでいう人工ダイアモンドのコト)の宝石市場への進出は脅威になりつつある。」omg・・・。

そんなものとは根本的に何かが違う気がしますが、それでもカラヤンの動きを完全にコピーした『ヘルベルト君初号機』とか、バーンスタインの唸り声まで再現した『レニーちゃん零号機』のようなものが出てきて、『南極1号』とか『朱美ちゃん3号』とは違う、人類の最も得意とする繊細な意思の領域にまで達することが出来るのか、、、はたまたこれを踏み台にどういう用途へ展開していくのか。楽しみですねぇ。

 

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