【新しいバイオリン教本】 第4巻 ~ ヘンデル ヴァイオリンソナタ ト短調 No.2 ~

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『ヴァイオリンソナタ 第2番ト短調 HWV.368』by Georg Friedrich Händel

ヘンデルの名を聞くたびに自分は音楽史をよく分かってないなぁ、と思う。
あのJ.S. Bach(大バッハ)と同じ年に生まれた作曲家と言うことも知らなかったし、「水上の音楽」でヘンデルの名前を知っているくらいなのでイギリスの作曲家と思っていたら、確かにイギリスには帰化しているけれどドイツ生まれだったことも知らなかった。

もっと言うと、後世に与えた影響度合いからバッハに軍配が上がるのかと思いきや、ヘンデルとバッハがいた時代のヨーロッパにおいては、バッハはヘンデルよりも格下の扱いだった。すなわち二人は決して対等の存在ではなく、当時の新聞紙上での音楽家人気投票では1位テレマン、2位ヘンデル、3位グラウプナー、以降順位がよくわからないがシュテルツェル、ハイニヒェン、ファッシュ、7位にバッハだった、という記録が存在するらしい。
J.Sバッハはヘンデルに2度面会を求めるものの、何某かの理由で面会は実現せず、同時代の大作曲家(バッハは当時格下であったが)は生涯一度も接点を持つことはなかった模様。

まぁでもコレ、致し方ないのでは?と思う。
かたやドイツから出ることなく、ルター派プロテスタントの為の教会音楽をメインに書き続けていたバッハと、自分の仕えていたハノーファー選帝侯がイギリス国王(ジョージ1世)になっちゃったせいでイギリスに帰化、イタリアオペラやカンタータ、オラトリオ(メサイアが有名)など聴衆の喜ぶ劇場用の音楽を作っていたヘンデル、そりゃあ差は出るでしょう。
ちなみにヘンデル、フルネームをゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685~1759年)と言い、上述の通りドイツ生まれでイギリスに帰化しており、また生涯の約3分の2をイギリスで過ごしていることからイギリスの作曲家として扱われることもあるそうな。

なお、ヘンデルのヴァイオリン・ソナタは,「作品1」と呼ばれる独奏楽器(トラヴェルソ,リコーダ,オーボエ,ヴァイオリン)と通奏低音のためのソロ・ソナタ集のうちのヴァイオリンの曲を指すのが一般的とされていて、通常第1番~6番を指す。
出版社によって収録曲が異なり、また大英図書館に収録されている版には「ヘンデルの作曲によるものではない」とメモ書きがして有ったりなどして、ココでいうところのヴァイオリンソナタ第2番、3番、5番、6番は偽作の可能性がある。と言われても困るわけ。
まさに今から第2番を弾こうとしてるんだからw。

なおその他のソナタのレビューは以下。

→『ヴァイオリンソナタ 第3番 ヘ長調 HWV.370』by Georg Friedrich Händel

→『ヴァイオリンソナタ 第4番 二長調 HWV.371』by Georg Friedrich Händel

ヘンデルのヴァイオリンソナタは大まかには二つのアプローチ、すなわち古楽器的アプローチとコンテンポラリー(現代的)なアプローチとに分かれる。
正直なところ古楽器的アプローチは初学者には向かないと思うのでココでは割愛しちゃう予定。当時の味付けを今に楽しむ、というのが趣旨な訳ですから。

となると、もうココはヴァイオリンの大家お三方に登場頂いて完結かと。

①ヨゼフ・スーク(Josef Suk)

②アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux)

 

③ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng)

自分が参考にしたのはスークの端正な演奏。
美音に酔っている訳でもなく、チェンバロ(ハープシコード)のルージチコヴァーとのアンサンブルも美しい。もちろん「新しいヴァイオリン教本」に収録されている譜面とスークが演奏している譜面は若干異なるのかスラー、トリル、スピカート等の細かい表現が異なっているのは致し方ないかと。
それよりも、音楽がどこへ向かってどうあるべきか、を指し示すという意味では、これ以上の演奏は無いのではないか、と思うのであるよ。

ってなところでまた次回。

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