【木材図鑑】ペルナンブーコ(Pernambuco)に取って替わるか?カーボン弓。

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【木材図鑑】ペルナンブーコ(Pernambuco)に取って替わるか?カーボン弓。

ここ最近はヴァイオリンの弓材に使われるペルナンブーコについて投稿。
絶滅危惧種に指定されてしまうだけあって、この職人の技術の結晶であり、そして自然の貴重な財産を工業製品化してしまおうと考えるのも自然な流れですよね。

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カーボン弓を使用しているプロのヴァイオリニストも最近増えてきているのも事実。
有名どころで言えばクリスチャン・テツラフ(Christian Tetzlaff)がカーボン弓を使用していることで知られています。
もっと言うと彼の場合は愛器ですら所謂ストラディヴァリウスではなく、シュテファン=ペーター・グライナー(Stefan-Peter Greiner)が製作した1999年製楽器を愛用しています。まぁ、それだけに名器、名弓とは何なのか?を考えさせられてしまいます。

カーボンボウの特徴として以下3点があげられます。

1)通常の弓よりも丈夫
2)環境の変化・時間の経過に強い
3)コストパフォーマンスがよい

弓と言うのは実は消耗品と言われていて、世界の名だたる弓もみな限られた消費期限を生き永らえつつ使用されているのが実態と言われていて、状態の良い、ミントコンディションの名弓などはほぼ皆無、あるとすればすさまじく高価なものになってしまっている、と言うのが実態です。

そんな弓でコル・レーニョ(弓の竿を叩きつける奏法)などはもってのほか。
それでなくても湿気や温度は楽器に大敵ですから、そんなコンディションで弾くわけないやん、とは思うでしょうが、室内でも温度差、季節の変わり目などコンディションに大きく影響してきます。

そういったことを勘案して、同価格帯通常の弓と比較すれば、ある一定品質を保たれているとすれば、これはコストパフォーマンスが高いと言わざるを得ないレベルにまでカーボン弓が発達してきた、と言えるでしょう。

【カーボン弓ブランド】

1)CODA BOW(コーダ・ボウ) → 米国のカーボン弓の代表的なメーカー


カーボンファイバー製楽弓”Coda Bow”は、その価格帯としては使いやすさ・音の良さでずば抜けているとの高い評価があると言われています。フェルナンブーコ材に代わる新たな材として、プロ演奏家などの注目を集めています。掲載モデルはダイアモンドコレクションの上位機種であるDiamond GXであり、古くからの職人技と最新技術の融合を最高の形で実現したモデル、という設定になっています。
弾いた感覚としては音色はハッキリとしつつも丸みを帯びたような音色が出せるようになっていると思われます。

 

2)Glasser(グラッサー) → 米国の弓メーカー、70年以上の歴史を誇る


1938年ニューヨークにLeon Glasserが工房を構えたことに発祥を持つ世界最大級の弓メーカー。Leonの息子、Rayが開発したグラスファイバー弓で有名であり、世界各地で特許を持っており、さらにカーボン弓の販売も開始しています。

 

3)Arcus(アークス) → オーストリアのカーボン弓メーカー

恐らく世界有数のプレイヤーがこちらのカーボン弓を使用していると思われます。
前述のクリスチャン・テツラフ(Christian Tetzlaff)をはじめ、イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)などがこぞって賞賛していることからも実証されていると思われます。
カーボンファイバーを焼成して樹脂分を出来るだけ除去することで品質劣化を防ぎつつ、音響特性から1本1本を選別する、という工業製品らしからぬ作業で仕訳していることから、最高級のカデンツァモデルは120万円/本してしまうと言う代物。

 

4)YAMAHA(ヤマハ) → ご存知日本の代表的楽器メーカー


写真はかの有名なザハール・ブロン(Zakhar Bron)モデル。
この他にもピンカス・ズッカーマン(Pinchas Zukerman)との共同開発モデルがあります。
リーズナブルな価格帯がウリとなっています。

 

5)JonPaul(ジョンポール) → 米国のカーボン弓の代表的なメーカー

 

6)Fiddlerman(フィドラーマン) → (おそらく)米国のカーボン弓の代表的なメーカー


 

【人工馬毛(シンセティック弓毛)】

ここにきてクロサワバイオリンが『シンセティック弓毛』をプロモーションしています。
http://www.kurosawaviolin.com/synthetic/

①水に対する親和性が低いため、伸びにくい、縮みにくい
②耐久性が高いため、切れにくい
③馬毛とほぼ遜色ない音色

キューティクルが無いため、松脂を大量に使用する必要がありますが、ここまでやっちゃいますか?とw。毛替えの頻度が落ちるので結果経済的になる、ということですね。

ココまで来ると、もう何が何だかw。
どれもこれも自然から得られた産物だけをベースとしていたところから、消費する一方ではなく何某かの継続可能な維持をしていくために、科学技術を応用しよう、と言うことなんだろうと思います。そして、これは言われてみないと聴き分けられない聴衆のレベルも、あるでしょうねw。

ってなことで、また次回。

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