【現役最強】Pinchas Zukermanの剛腕が唸るブルッフ

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Pinchas Zukerman(ピンカス・ズッカーマン) は12歳の時にイスラエル音楽祭での演奏をアイザック・スターンとパブロ・カザルスに見いだされ、スターンの後見でジュリアード音楽院に留学、ジュリアードでは名教師イワン・ガラミアンに師事する。1967年、レーヴェントリット国際コンクールで同門のチョン・キョンファと同時に第1位を取得し、以後、欧米各地でソロ活動を行う。

レーヴェントリット国際コンクールは同じくガラミアン門下のItzhak Perlman(イツァーク・パールマン)も1964年に第1位を取得した難関のコンクールとして知られ、ふさわしくない年は「該当者なし」とすることもあるだけあって覇者は名手揃い。あのDavid Nadien(デヴィッド・ナディエン)もこのコンクールの覇者である。

レーヴェントリット国際コンクール歴代優勝者
1943年: ユージン・イストミン, ピアノ
1946年: デヴィッド・ナディアン, ヴァイオリン
1947年: アレクシス・ワイセンベルク, ピアノ
1949年: ゲイリー・グラフマン, ピアノ
1954年: ヴァン・クライバーン, ピアノ
1957年: アントン・クェルティ, ピアノ
1958年: アーノルド・スタインハート, ヴァイオリン
1959年: マルコム・フレイジャー, ピアノ
1962年: ミシェル・ブロック, ピアノ
1963年: イツァーク・パールマン, ヴァイオリン
1965年: ハン・ドンイル, ピアノ
1967年: チョン・キョンファ/ピンカス・ズーカーマン, ヴァイオリン (同時受賞)
1969年: ヨーゼフ・カーリヒシュタイン, ピアノ
1976年: 該当者なし
1981年: セシル・リカド, ピアノ
(コンクールは開催されず、リカドへの表彰のみが行われた)

 

ズッカーマン / ブルッフ、ラロ、ヴュータン

【収録情報】
1. ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
2. ラロ:スペイン交響曲

ピンカス・ズッカーマン(vn)
ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
ズービン・メータ(指揮)
録音:1977年[ステレオ]

3. ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第5番

ピンカス・ズッカーマン(vn)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
チャールズ・マッケラス(指揮)
録音:1969年[ステレオ]

このディスクではブルッフを推したい。
マックス・ブルッフはコル・ニドライ(ヘブライ語で「神の日」という意味)といった曲を残すなどヘブライ民謡等の民族民謡に造詣が深く、ポーランド系ユダヤ人であるズッカーマンにとっては思い入れのある作曲家であるのか、ぐいぐいと音楽をリードする剛腕と確実なテクニック、そして深く深く歌い込んでいくスタイルで聴くものを惹きつけてやまない。

第1楽章からして、茫洋とした音像の中から光が差すように歌い込まれていく旋律、当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけれど、猛烈な精度でコントロールされた右手に圧倒される。もうこの時点で感動しかない。
第2楽章はオーケストラも乗ってきていて、おおよそアメリカのオーケストラとは思えない美しい歌い回しのうえにソロが乗る。美しい音色である。
第3楽章は完璧なボウイングでぐいぐいオケを引っ張っていく剛腕ぶりを楽しめる。
こんなに素晴らしいディスクが1,000円ちょっとで買えてしまうと言う事にもビックリ。
もう少し高いお金を払ってもよいでしょ?と思ってしまう。

と言うことでまた次回。

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