SHAHAM, Gil / ギル・シャハム ~ 完璧の美学、小さな巨人が目指すところは?

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ギル・シャハム(Gil Shaham、1971年2月19日 – )は、イスラエル人のヴァイオリン奏者。あくまで作曲者の意図に忠実ながら、高いテクニックと非常に流麗な演奏が魅力で、若い世代を代表するヴァイオリニストの一人である。
イスラエル人の両親がアメリカ滞在中にイリノイ州で生まれる。父親は天体物理学者、母親は遺伝学者という非常に学究的な家庭であった。1973年にイスラエルに渡りそこで育つ。
エルサレムのルービン音楽アカデミーのサムエル・バーンスタインのもとで7歳からヴァイオリンを学ぶ。1980年、9歳の時に参加したアメリカコロラド州の夏期音楽アカデミーで名教師ドロシー・ディレイに見いだされる。1981年、10歳でアレクサンダー・シュナイダー指揮エルサレム交響楽団との共演でデビューを果たす。翌年にはズービン・メータ指揮イスラエル・フィルとの共演を果たし、神童と評価されるようになる。その年にジュリアード音楽院の特別奨学生としてディレイのもとで学ぶ。1989年からはコロンビア大学でも学び音楽以外の分野にも教養を深める。

あまり力まず全音域わたって柔らかくよく伸びる音。変にこねくり回さずいたってオーソドックスな解釈とあいまって全てにおいて模範ともいえる演奏が出来るヴァイオリニスト。
例えば「Schubert for two」でのアルペジオーネソナタやアヴェマリアなどあまりの仕上がりの完璧具合に圧倒されてしまう。
録音状態にもよるのだろうが、楽器にテンションをかけて鳴らす密度の高い、人工的な音ではなく、楽器が生み出す自然で豊かな音色、暖かかみのある、柔らかい、それでいて名良快活な音色、それだけでも一聴の価値がある。
同様にコンチェルトでも安心して聴いていられる演奏家であるといえる。
いつぞや都響でブラームスのコンチェルトをやったときも、それはそれは素晴らしい出来であった。何よりも完璧すぎて、という技術的なポイントもさることながら、オケと張り合わなければならない音量、音域でありながらも圧倒的に美しい音色、流麗なフレージング、完全に別世界へ連れて行ってくれる魔術師的な存在に既になっているといえる。

SHAHAM, Gil / ギル・シャハム ~ 完璧の美学、小さな巨人が目指すところは?” への1件のコメント

  1. […] ギル・シャハムがこの曲をラシック・ギターの名手セルシェルとともに録音した『Schubert For Two』の中に、この「楽興の時」が納められています。 豊かな音色で楽しめる1曲となっています。 […]

【新しいヴァイオリン教本】第3巻 ~シューベルトの楽興の時~ | Hyakushiki Violin へ返信する コメントをキャンセル

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