【新しいヴァイオリン教本】第3巻 ~『ベルリーニの主題によるエア・バリエ Op.89-3』by C. Dancla

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『ベルリーニの主題によるエア・バリエ Op.89-3』by C. Dancla

このC. Danclaとはシャルル・ダンクラ(Charles Jean Baptiste Dancla)というフランス生まれのヴァイオリニスト・作曲家をさす。生没は1817年12月19日~1907年11月10日であり、同世代ではシューマンやベルリオーズと同世代である。
9歳でピエール・ロード(日本ではローデで知られる)にヴァイオリンを師事。ロードはダンクラの才能に感銘を受けて、推薦状を持たせてピエール・バイヨやルイジ・ケルビーニ、ロドルフ・クロイツェルに紹介している。
ちなみに、ピエール・ロード、ピエール・バイヨ及びロドルフ・クロイツェルは共著でヴァイオリン奏法の教則本を執筆しており、この3人は、フランス・ヴァイオリン楽派の基礎を作った『聖三位一体』と見なされている。さらに言うとこのクロイツェルは、かのベートーベンから「クロイツェルソナタ」を献呈されたヴァイオリニストである(一回も弾かなかったらしいけど)。
ちなみに『聖三位一体』とは英語名で“Trinity”、キリスト教の教理で,一つの神格にある三位格 (ペルソナ ) としての「父と子と聖霊のまとまり」をさす。三位一体という言葉も、この教理を明記した個所も新約聖書の中には出てこない、というあたりからこの概念を理解するのは非常に難解と言われている。
まぁ、フランス・ヴァイオリン楽派の父みたいなもんですね。平たく言うと。
話を元に戻すと、ダンクラはパリ音楽院でバイヨにヴァイオリンを、作曲をフロマンタル・アレヴィに師事することになる。1830年にニコロ・パガニーニをの演奏に触れてインスピレーションを受け、さらにアンリ・ヴュータンにも同じように影響されている。1835年からソリストとしてパリで活躍を始め、その後はパリ・オペラ座管弦楽団にも入団し、そのコンサートマスターに昇進、1857年に母校パリ音楽院の教授に任命され、それから35年にわたって教師を務めた。
ヴァイオリンを学ぶ学生用に、イタリア・オペラの旋律を主題にした変奏曲「6つのエア・ヴァリエ」作品89、主にベルリーニの主題を用いた「6つのエア・ヴァリエ」作品118等が知られている。

以下は監修CDから。5曲ダウンロードしなくてはならない。

6 Airs Variés, Series I, Op. 89: No. 1, Thème de Pacini
6 Airs Variés, Series I, Op. 89: No. 2, Thème de Rossini
6 Airs Variés, Series I, Op. 89: No. 3, Thème de Bellini
6 Airs Variés, Series I, Op. 89: No. 4, Thème de Donizetti
6 Airs Variés, Series I, Op. 89: No. 5, Thème de Weigl
6 Airs Variés, Series I, Op. 89: No. 6, Thème de Mercadante

全般的に変則的なリズムもなく、至って平易で平和な、学生用の音楽と言えるかもしれない。まぁ、いきなりフラジオが出てくるし、なんじゃこりゃあ、という入口ですが、メロディは覚えやすく、暗譜もしやすい。
クライマックスに向けて大変にはなってきますが、練習のしがいのある一曲になっています。

ということで、この後に控えるフィオッコのアレグロの譜面が真っ黒なのにドキドキしながらさらっていきましょう。

ということで、また次回。

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