こんなオーケストラがあったらいいな⑤ ~『地下鉄(メトロ)に乗って編』

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『はじめに』

小説「地下鉄に乗って」は、浅田次郎の長編小説であり、1994年に徳間書店から刊行され、第16回(1995年)吉川英治文学新人賞を受賞した名作。過去と現在を地下鉄を通じて行き来し、家族の過去をたどる男を描いたちょっぴりSFちっくな設定だが、浅田次郎のストーリーテラーとしての猛烈な上手さにあっちゅーまに引き込まれて一気に読み切ってしまう。

舞台は丸ノ内線の新中野駅。
映画ではどう考えても竹橋駅で、東西線の5000系に丸ノ内線300系のカラーリングと独特な帯を模したラッピング電車で撮影を実施しているが、てっちゃんの目は誤魔化せない。
ネットであのラッピング電車の写真を探してみたけれど、個人のブログなどに検車場で撮ったであろう写真くらいしかなく掲載できないのが残念だけれど。

そしてまた、映画『あずみ』の頃から注目していた岡本綾が出ているので、これもまた素敵なんだが、いまやもう色々トラブル起こしちゃったこともあり引退しちゃっているし。

・・・とまたどうでもいい方向へ話が逸れる。

『NYの地下鉄に乗ったことありますか?』

NY市営地下鉄に乗ろうとすると、大半の駅の改札口付近や別路線への乗り換え通路でストリートパフォーマンスしている姿に出くわします。これって結構有名な話で、パフォーマーは全員オーディションを受けて認められた人々。

NYの地下鉄には25ヵ所の演奏スペースが設けられており、毎年20組ほどのミュージシャンが合格しているのですな。ニューヨーク州都市交通局(MTA)は『Music Under New York』というプログラムを主催していて、さまざまな文化圏のミュージシャンを探すことで、「ニューヨークに住む人々の文化と多様性を映し出そう」とする試みを継続しているゆえに、色々なパフォーマンスを見ることが出来る。
例えば、サックスやヴァイオリン、ピアノと言ったオーソドックスなものから、中国打楽器、フラメンコギター、スティールパン、あるいはMJの『スリラー』に合わせてダンスしたり、ひたすら動かないパフォーマンスをしたり。
MTAのオーディションで選ばれたミュージシャンは、演奏を承認されているので、警察に駅から締め出される心配がないワケ。また、MTAに選ばれることは、腕の確かなミュージシャンであるというお墨付きを得ることにもなる。
こういう試みを東京でもやったらいいじゃない、と思うワケ。

せっかくだから、日本のハイテクを駆使して、東京メトロ全駅(179駅)をブロードバンドで接続して、オーケストラの各プレーヤーを1駅1人配置。大手町駅あたりで指揮者はモニターに映し出される各プレーヤーに向かって指揮をしつつ、全員の音をオーケストラのように音像を作り上げて配信する、みたいなことやったら面白いと思うのですよ。

以下動画はNYの地下鉄でWifiが使えるようになったので、電波どれだけ強いねん?って遊んでみた動画みたいですが(実際は多少のずれがあり編集で調整しているみたい)、こういうアイデアってすごい画期的。

オーケストラのひとり弾きに触れる機会なんてそうそうないし、とはいえちゃんと目の前でアンサンブルしている場面に接することが出来るとしたら、もちろん忙しい方は足を止めることは無いでしょうが、一瞬の間であっても記憶に残るのではないかしら、と思うワケですよ。

こういうストリートミュージシャン的オーケストラ、あっても面白いと思うのです。

ちょっと違うけれど、2010年3月21日にNYの地下鉄で一人のチェリストがJ.S.Bachを奏でる試みをスタートしました。3月21日はJ.S.Bachの誕生日。

通常、街角で演奏している人にはチップをあげますが、彼は『お金はいらないのでただ音楽を聴いてください、そしてポストカードをどうぞ』と書いた紙とポストカードを譜面台にのせて、ただ一心不乱にバッハを弾きまくります。

“偉大なる音楽の父、J.S.Bachの誕生日を祝って、今日は一日中バッハの音楽を奏でます。
音楽に対する愛と敬意を街ゆく人々と分かち合い、クラシック音楽を育む次世代につないでいくために”

自分も参加したことが有るけれど、こういう試みが日本の地下鉄でも出来たらステキよね、ってなところでまた次回。

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